こんにちは。
ハロウィンに仮装はしないサトーです。
さいきん読んだ本の感想です。
ウェンディゴ
さて、ハロウィンにぴったりの怪奇小説を読みました。
『ウェンディゴ』
アルジャーノン・ブラックウッド/BOOKS桜鈴堂
本書の説明によると「アルジャーノン・ブラックウッドの代表作にして、怪奇文学史上屈指の名作」だそうです。
あらすじは、ヘラジカを狩るために雪の原生林に踏み込んだ一行が不可解な存在に遭遇して…という恐怖もの。
ホラーです。怖かったです。
しっとりしたホラーで古典的な怖さがあります。
週末の夜に深く考えずに読み始めたんですが、途中から隣の部屋の電気も点けてました。暗闇では読めなかったんですね。
私がいるのは雪国でも原生林でもない、住宅街の安全な家の中なのにね。それくらい怖かったんですよね。
レヴェナント
読みながら頭に浮かんだのは映画『レヴェナント:蘇りし者』です。
『バードマン あるいは』と同じ監督です。レヴェナントはレオナルド・ディカプリオ主演、アメリカ北西部の超がつく山の中、しかも極寒地帯です。
一方、先ほどのウェンディゴはカナダの雪の原生林が舞台。
先にレヴェナントの映像を見ていたので、ああ、ウェンディゴの世界もきっとこんな感じなんだろうなーとイメージしやすかったです。
人間や文明の影や形さえない、雪に閉ざされた大自然のド真ん中で繰り広げられるホラー体験です。
さてここからはネタバレになります。
この記事のタイトルにある「姿を見せない恐怖の演出」というのは、実はインディアンが怖れているウェンディゴそのものは姿を見せないことです。
仮の姿では現れるんですが、本当の姿は見せない。
気配は感じるけど、読者はその真の姿を知ることはないんです。なぜなら見た者は無事ではいられないから。
「恐怖の対象を最後まで見せない」または、「途中まで見せない」というのはエンタメ界にはたまにある手法みたいです。私はエンタメやその制作方法には詳しくないのですが、長く生きてきて、いろんな作品を見たり読んだりしていたら気づきますよね。
1979年の『エイリアン』や1975年の『ジョーズ』がそんなかんじだったと思います。
恐怖の対象は最後まで、見せない。
姿が見えないので余計に恐怖がふくらんでいく…このへんは心理学的にも説明がつきそうです。
ウェンディゴも最後まで「実際の本当の姿」は分かりません。
そしてWikipediaを見ると、なんとウェンディゴというのは精霊の呼び名、または精神疾患の1つと書いてあります。精神疾患であれば、ウェンディゴが最後までデファーゴ以外には見えなかった理由が説明つきそうです。
まとめ
実は、ウェンディゴの前に『微睡みの街』を読んだんですよね。
こちらはホラーというより、幻想的なファンタジーに近いかんじでした。
全然怖くないので、ブラックウッドさんはこういうかんじなのかー、読みやすいなーと思って『ウェンディゴ』を読んだら、怖さが格段に違ったのです。
『ウェンディゴ』、興味があれば読んでみてください。
それでは、お読みいただきありがとうございました♪