本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『君が戦争を欲しないならば』感想

 

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こんにちは。
フランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告官が、UNRWAの受けた被害についてコメントしています。UNRWAイスラエルからネガティブキャンペーンをされていて、風評被害を受けているとのこと。
UNRWAはこれまでに施設の70%が破壊され、職員が恣意的に逮捕され、活動を妨害され、時には拷問されたとのことです。
アルバネーゼ国連特別報告官は「イスラエルは国連資格を停止されてしかるべきだ」と言っています。
本当にさっさと停戦してほしいです。
 
さいきん読んだ本の感想です。
 
 

この本は

2018年に逝去したアニメーション映画監督の高畑勲氏が、2015年に岡山市民会館で講演した内容をまとめたものです。
 
高畑氏が幼少期に、岡山で空襲に遭った話、戦後体験、戦争について、などが収録されています。
 

感想

高畑氏は講演当時79歳。
講演の最初に「あの戦争では(中略)多くの人が亡くなりました。それに比べたら、私が経験したことなど、お話するほどのことではない」と言っています。
 
でも、空爆に遭った人の経験に「話すほどのことではない」はないと思うんですよね。
普通に暮らしてたら空から爆弾や焼夷弾が降ってきて、あたり一面が火の海になったわけですから。
ケガをしたり生命が脅かされたり、家族や家財を失ったとかの違いはあるでしょうけどね。
 
しかも半世紀以上前の出来事で、生存者の経験談ですから、ご本人から直接聞けるのは貴重だと思うんですよ。
 
で、その貴重な経験談は読んでいただければと思います。
 
 

過去との比較:あんま変わってない

私が驚いたのはですね、1935年生まれの高畑氏が2015年に話した内容なんですけど、
2024年の今もあんま変わってないなと思ったことです。
 
たとえば、
 
戦争を始めたがる人は、必ず、「あんな悲惨なことにならないためにこそ、戦争をしなければならないのだ」とか、
「軍備を増強しなければならないのだ」と言います。

 

 
これって、今も言う人がいますよね。
で、実際に軍事費が増えているし、石垣島では自衛隊が居座って幅を利かせているし。
 
アメリカなどは、何回も戦争をしますよね。(中略)
しかも、どれひとつ成功していないのに、それでもやるんです。

 

 
たしかにね。アメリカは自国ではなく、他国を戦場にしていますよね。
今もガザで虐殺をするイスラエルを支援しています。
 
あと「天皇が被災地を視察しにきたら、復興につながる
これも能登地震のときに似たようなことがありましたよね。
天皇陛下がおいでになるので、みっともなくないようにまず(被災地の)焼け跡の片付けをしなければならない」というね。
こういうところは今も変わってないですね。
 
そして、沖縄が今も昔も犠牲になり続けていることにも触れていました。
 
 

過去との比較:あんま変わってない2

あとは日本人は「空気を読め」とか言うけど、これは「これは場違いなことをするな」ということであって、異議を唱えてはいけないという意味であるとか。
だから意見が異なる人には徹底的に冷たくするとか。
 
戦後これだけの時間が経っても民主主義が身についてないのは、アメリカより悪い、とか。
 
日本人には「責任を取らない体質」と、悪い方へずるずる行ってしまう「ずるずる体質」がある。
 
そういった、かなり鋭い指摘がありました。
 

過去との比較:劣化してる部分

逆に今ではココ、劣化してるなあと思ったのは、
 
アメリカは日本人に米軍の肩代わりをさせたくて仕方なかったはずです。(中略)(しかし)日本政府は憲法九条を盾に取って自衛隊アメリカの戦争をに参加させなかった
 
というのがですね、今は日本の自衛隊が米兵の盾になるようなことを、前首相の岸田がバイデンと約束してませんでしたかね?
 
読んでいるとですね、当時から日本人の体質や気質が悪い意味で変わらないというのが、暗澹たる気持ちになりました。
が、落ち込んでいても何も変わらないので、元気があるときは戦争反対とかイスラエルはジェノサイドやめろとか、言い続けていこうと思います。
 
 

まとめ

高畑氏が慧眼だったのは間違いないと思います。
100ページに満たない短い本ですが、とても読みごたえがありました。
 
高畑氏は当時、「七〇年間、戦闘で一人も殺さず、殺されず、いまもなお戦後といえることがどんなに幸せなことか」と言っています。
 
日本がずるずると「戦争」の方へ行ってしまうのが本当に幸せなことなのか。いま一度、真剣に考えてみたほうがよさそうですね。
 
それでは、お読みいただきありがとうございました。