本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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悲劇『マッチ工場の少女』感想

 

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こんにちは。
クリスマス・イヴはお腹を壊したので、家でしょうが紅茶を飲んでいたサトーです。
そんなことより、埼玉県議会でインボイス精度の廃止を求める意見書が賛成多数で可決されたそうですよ。
しかも自民党県議団が主導ですって。
すごいですね。
ものすごく現場の人に寄り添った判断です。
自民県議団の白土政調会長という人は、自民党の偉い人に怒られるんじゃないかなーとか考えちゃいました。
ぜひとも、この動きが全国に広がって、無駄仕事であるインボイスが廃止されるといいですね!
 
ところで・・・X(旧Twitter)でこんなポストを見ました。
現実離れした光景です。
西洋は祝祭モードです。クリスマスツリー、キャロル、クリスマスオーナメント、ハムや七面鳥の注文、レストランは満員で、通りも、目的を持った人々がプレゼント探しやパーティーへの道中でいっぱいです。
一方、キリスト生誕の地では、何万人、おそらく何十万人もの人々が飢え、殺されています。
 
キリスト生誕の地というのはパレスチナのことですね。

 
ちなみに、この投稿主はジャーナリストとのことですが、彼女のタイムラインにはショッキングな画像があるので、見にいくのはおすすめしません。
 
本当に、ガザに平和なクリスマスが訪れるのはいつになるんでしょうね?
 
 
さいきん見た映画の感想です。
一部、ネタバレしています。
 
 

ストーリー

マッチ工場の少女 (字幕版)

マッチ工場の少女 (字幕版)

  • カティ・オウティネン
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フィンランドの田舎町のマッチ工場で働くイリス。
彼女は給料をほぼ全て家に入れている。
同居している母と継父に、給料を「上納」しているのだ。
イリスは、たまに外で飲むハーフグラスのビールや、ダンスクラブに行くのが息抜きだ。
ある日、ヤケになって派手なドレスを着て、出かけた先で男と出会い、一夜を過ごす。
その後、イリスは妊娠が発覚し男に告げるが、男はイリスに金を渡しただけだった。
 

感想

イリスの家のテレビでは天安門事件が報道されているので、時代は1989年ごろでしょうね。
 
タイトルがマッチ工場の少女なのでね、わたしは現代のマッチ売りの少女をイメージしたんですよね。
 
まさにそんな感じでした。
 
マッチ売りの少女の話は、貧しい環境で親に虐待されている少女が、年の瀬に雪のなかマッチを売りに出かけて、全然売れなくて、寒くてマッチを擦ったら、炎の中に幸せな光景が見えて、そのまま凍えて死んでゆく・・・
というアンデルセンの童話ですね。
 
『マッチ工場の少女』もだいたいそんなストーリーで進んでいきます。
 
 

ネタバレ

貧しい環境にいる若い娘がイリスです。
彼女は働いた金は親に上納していて、好きな服を買う自由もありません。貧しい環境ですね。
 
イリスは言います。
「家賃を払う義務が私にはある」
そう思ってるんですね。それとも、両親にそう思い込まされてるだけでしょうか?
 
でもイリスも、やはり若い娘なのでたまにはオシャレして楽しみたいし、誰かに愛されたいんですよね。
家と職場の往復だけの生活は嫌ですからね。
そして、ある夜、着飾って出会った男はは、誠意のないただの遊び人でした。
 
イリスは、いい生活をしているその男とカップルになりたいと夢見るんですけどね。
男のほうはただの遊びだったので、イリスを拒絶します。
その後、イリスの妊娠が発覚し男に告げますが、男は金を渡して、始末してくれと言います。
 
ここでイリスは絶望したと思うんですよね。
お腹の中に小さな赤ちゃんがいると知って、彼女は喜んだんですよ。
夢を見たんですね。
 
働いて家に帰っても誰にも愛されず、金だけむしり取られていくし、男には愛されなかったけど、ようやく愛し愛される存在ができたと喜んだと思うんですよ。
希望を抱いたんですね。
 
マッチ売りの少女が炎の中に幸福を見たようにね。
 
それなのに、心無い男に金を渡されて始末しろと物みたいに扱われて、自分だけじゃなくて、お腹の赤ちゃんも物扱いされて、それで心が折れたんですよ。心が死んだんですね。
 
その後、イリスは事故にあって完全に希望を絶たれます。
 
それでイリスは人としてのモラルとか道徳心とか、自制心とか全部ぶっ飛んだと思うんですよ。
それで凶行に及ぶんです。
 

助けられない

結果としてイリスは連続殺人犯になってしまい、逮捕されます。
最後は警察に連れて行かれてしまいます。
 
アンデルセンのマッチ売りの少女は、飢えと寒さと孤独の中で死んでいきました。
 
80年代のマッチ売りの少女は、絶望のまま人を殺し、逮捕されて青春を終えたんですね。
 
これは現代日本にも通じるところがあると思います。
本当に助けが必要な、孤独で無力な少女にヘルプがいかないんですね。
 
そういう意味では、普遍的な問題を投げかけている作品だと思いました。
 
 
あとイリスはポニーテールにしてて、ショッキングピンクの鮮やかなヘアゴムをしてるんですけどね。このヘアゴムは映画全体の雰囲気やトーンから明らかに浮いてるんですよ。
なんだか、このピンク色のヘアゴムがイリスの純粋な小女性を象徴しているように思えてきて、見返してみるとさらに物悲しくなりましたね。
 

まとめ

今はインターネットがあるんですけどね。
 
たぶんイリスみたいに、本当に困っている人は自分が求めているものが何か、どういう情報が必要か、っていうのは分かってないことがあると思うんですよ。
 
そういう本当に困っている人に情報が届かないというのが、福祉サービス提供側の悩ましいところでもあると思います。
 
技術や情報網が発達した現代でもですね、世界のはしっこで困っている人にリーチできないんですね。
 
そういうことまで考えてしまう映画でした。
もうね、こういうのは義務教育で教えるべきですよ。
AI曰く、「学校教育や地域活動で孤独や貧困について考える機会を増やすべき」とのこと。
 
「愛」を求めているだけの少女が自他ともに破滅させるところまでいくなんてね。
人類は文明社会で今まで何をやってきたんだ・・・てかんじですからね。
 
それでは、お読みいただきありがとうございました。