本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』感想

 

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こんにちは。
年の瀬に微熱を出して引きこもっているサトーです。
ビミョーな体調なので外出できず、頭も回らないのがつらいところです。
そんなことより、
イスラエルがイエメンの国際空港などを空爆したそうです。空港には当時、WHOの事務局長もいたとか。
本当にイスラエルは周辺を攻撃しまくってて、破壊行為しかしないので、人類のひそかな敵だと思うんですよね。
なんでこんな国が放置されてるんですかね。
ガザも相変わらず攻撃されているので、さっさと停戦してほしいです。(スイカ
 
さいきん読んだ本の感想です。
 
 
 

この本は

韓国現代文学を<弱さ>という視点から読み解いて、解説しています。
『82年生まれ、キム・ジヨン』など13作品を取り上げています。
 
韓日翻訳者の小山内園子氏がNHKラジオで講義した内容を書籍化したものです。
 
 

感想

読んでいるとですね、まー現実の悲惨なニュースを思い出したりして、重苦しい雰囲気になりましたよね。私の部屋がね。
 
この本を読んでみようと思ったのはですね、こちらの放送を聞いたからです。↓↓↓
小山内氏と倉本さおり氏が最近の韓国文学について語っておられます。
ここで紹介されている本はぜんぶ欲しかったんですけどね。ちょっと予算の都合があってとりあえず1冊だけ読みました。
 
 
 

日韓をくらべてみる

この本を読んで、まず頭に浮かんだのはですね。
この本に出てくる韓国文学(フィクション)と、日本現代文学(フィクション)はかなり違うんじゃないかなーということです。
 
ただ断っておきますが、私はどちらも詳しくないので、あくまでふわっとした印象で話を進めます。
 
ここで紹介されている韓国現代文学は、歴史や現実を見つめてその中からフィクションを紡ぎだしてるんですね。
目を背けずに凝視してて、とても現実的です。生々しいくらいにリアルです。
 
一方、私が知っている日本現代文学(マンガ含む)は完全にフィクションが多くて、しかもポジティブ要素が強いんです。
楽しむという意味でのエンタメに徹しているようなんですね。
 
なので、後者になじんできた私には、この本の内容はかなり重いというか、衝撃が強かったです。
 
 

胆力がすごい

それぞれの本の解説を読んでるだけでも、ツラいし嫌なことを思い出しそうになったんですよね。まあ読んでて楽しくはなかったです。読みごたえはありましたけどね。重苦しいし、息苦しくなってきてね。
 
でもそんな本を読みつづけてきた韓国人たち(たぶん主に女性たち)はすごい現実的なんだろうなと思いました。
 
だって歴史や女性の生きづらさを直視して、考え続けてきたんですからね。だから、そういう人たちの、その方面の胆力は相当なものだと思われます。
 
それを証明するものとして、2024年12月3日に韓国で起きた戒厳令の事件と、その後のデモがあるんじゃないかなあと。
 
若い女性がアイドル応援棒(ペンライト)を持って、デモに参加したとかね。
 
聞いたところによると、デモの参加者には若い女性が目立ち、逆に若い男性は少ない、または見当たらなかったとか。それはユン大統領が反フェミニストの姿勢だったから・・・とか。
 
この事件は民主主義の危機だったから若者もすぐに動いたみたいなんですけどね。
それでも若い女性たちが、何が「危機」なのか分かっていて、すぐに行動できるのはすごいなと。それは、もしかしたら女性の生きづらさを直視し続けてきた韓国現代文学が少なからず影響しているのかなと思いました。
 
 

まとめ

それって胆力だと思うんですよね。
(胆力とは、物事を怖れたり気おくれしたりしない気力。度胸)
 
ハードな文学を読んで、ハードな現実を見つめて、考えて行動するというのは、胆力だと思うんですよ。
 
私はそういう精神的なタフさはまだないので、この本で紹介されていた韓国現代文学を連続で読むのはまだ無理なんですけどね。
 
それでも元気があるときに、少しづつでも読んでいきたいなあと思いました。
 
それでは、お読みいただきありがとうございました♪
 
 
 

fortunamajor.hatenablog.com

 

 

おまけ♪

気になったので、2015年から2024年までの日本と韓国の現代文学の特徴を、perplexityに聞いてみました。(なぜ2015~2024かというと、上の本で取り上げられた本が2015~2022の作品だからです。ついでに2023と2024も含めました)
 
結論からいうと、フェミニズム、社会問題、国際的な評価、若手作家の台頭、そして自国のカルチャーとの関係性などにおいて、特徴がみられました。
ここから長いですよ~♪
 
2015~2024 韓国現代文学の特徴
フェミニズム文学の台頭
2018年に刊行された『82年生まれ、キム・ジヨン』は、韓国におけるフェミニズム文学ブームの火付け役となりました。この作品を皮切りに、女性の生きづらさや社会問題を扱った作品が多く注目されるようになりました。『私たちにはことばが必要だ』『娘について』『ヒョンナムオッパヘ』などのフェミニズム関連本が次々と話題を集めています。
 
社会問題への鋭い洞察
韓国の作家たちは、個人的な物語を描きつつも、それを通じて社会問題や歴史問題を巧みに織り込んでいます。例えば、ハン・ガンの『少年が来る』は光州民主化抗争(光州事件)を題材にしながら、人間性の普遍的なテーマに迫っています。
 
国際的な評価の高まり
2016年にハン・ガンの『菜食主義者』がマン・ブッカー国際賞を受賞したことを皮切りに、韓国文学の国際的な評価が急速に高まりました。2024年にはハン・ガンがノーベル文学賞を受賞し、韓国文学の世界的な地位を確立しました。
 
若手作家の台頭
キム・ヨンス、パク・ミンギュ、チョン・セランなど、90年代半ば以降に登場した作家たちが、個人や日常の話を中心に据えた作品で韓国の読者の共感を得ています。これらの作家たちは、イデオロギーや国家の問題から離れ、より普遍的なテーマを扱う傾向があります。
 
K-カルチャーとの相乗効果
BTSなどのK-POPアイドルや韓国ドラマの人気が、韓国文学への関心を高める後押しとなっています。例えば、BTSのメンバーが言及した本が注目を集めるなど、サブカルチャーから文学への橋渡し役となっています。
 
多様性と普遍性の共存
韓国文学は、韓国特有の歴史や社会問題を扱いつつも、より普遍的なテーマを探求する傾向が強まっています。これにより、国境を越えて多くの読者の共感を得ることに成功しています。
 
以上の特徴から、2015年から2024年の韓国現代文学は、社会性と普遍性を兼ね備えつつ国際的な評価を高め、多様な読者層を獲得していったと言えるでしょう。
 
この時期に韓国内で売れた本は?
perplexityがチョイスした、この時期に韓国内で最も売れた韓国現代文学10冊です。(perplexityはここが一番時間かかりました)
 
1. 『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ著 - 135万部
2. 『不便なコンビニ』キム・ホヨン著 - 150万部(続編含むシリーズ累計)
3. 『私は私のままで生きることにしたキム・スヒョン著 - 120万部
4. 『すべての瞬間が君だった』ハ・テワン著 - 50万部
5. 『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン著 - 25万部
6. 『菜食主義者』ハン・ガン著 - 正確な売上部数は不明だが国際的な評価が高く、2016年にマン・ブッカー国際賞を受賞。
7. 『アーモンド』ソン・ウォンピョン著 - 正確な売上部数は不明だが、BTSのメンバーに推薦されるなど人気を集めた。
8. 『少年が来る』ハン・ガン著 - 正確な売上部数は不明だが、2024年にノーベル文学賞を受賞し注目を集めた。
9. 『殺人者の記憶法』キム・ヨンハ著 - 正確な売上部数は不明だが、韓国で初登場1位を記録。
10. 『カステラ』パク・ミンギュ著 - 正確な売上部数は不明だが、2015年に第1回日本翻訳大賞を受賞し韓国でもロングセラーを記録。
 
 
2015~2024 日本現代文学の特徴
続いて、同時期の日本現代文学の特徴です。
 
フェミニズム文学の台頭
2010年代後半から、フェミニズムをテーマにした作品が国際的な注目を集めています。川上未映子の『夏物語』は、妊娠や出産、女性の身体をめぐる問題を扱い、海外でも高い評価を得ました。また、村田沙耶香の『コンビニ人間』は、従来の「日本女性」像を覆す個性的な作品として、国内外で話題になりました。
 
若手作家の活躍
宇佐見りんの『推し、燃ゆ』のように、若手作家による現代社会を鋭く切り取った作品が注目を集めています。SNSやアイドル文化など、現代的なテーマを扱う作品が増加し、新しい世代の読者の共感を得ています。
 
国際的評価の高まり
村上春樹の作品が世界中で読まれ続ける一方で、新たな日本人作家の作品も海外で翻訳され、高い評価を得ています。翻訳を通じて日本文学が世界に広がる中で、言語圏によって作品の受け止め方に違いが生じるなど、グローバル化に伴う新たな現象も見られます。
 
 社会問題への鋭い洞察
現代社会の問題を深く掘り下げる作品が増加しています。生きづらさや格差、アイデンティティの問題など、現代人が直面する課題を描く作品が多く生まれています。
 
多様性の拡大
従来の「純文学」の枠にとらわれない、多様な表現や題材を扱う作品が増えています。エンターテインメント性と文学性を両立させた作品や、ジャンルの境界を越えた実験的な作品なども見られます。
 
 デジタル化の影響
電子書籍の普及やSNSの発達により、文学の創作や受容のあり方が変化しています。新しいメディアを活用した表現や、読者とのインタラクティブな関係性を持つ作品も登場しています。
 
この時期の日本現代文学は社会の変化を反映しつつ、新たな表現や主題を模索する動きが活発化しています。同時にグローバル化の進展により、日本文学の国際的な受容と評価も新たな段階に入っていると言えるでしょう。
 
この時期に日本で売れた本は?
perplexityがチョイスした、この時期に最も売れた日本現代文学10冊です。
 
1. 『鬼滅の刃吾峠呼世晴 - 1億5000万部(電子版込み)
2. 『ナミヤ雑貨店の奇蹟東野圭吾 - 1300万部
3. 『人間失格太宰治 - 1200万部
   ※1948年の作品だが、この期間でも高い人気を維持している。
4. 『ノルウェイの森村上春樹 - 1200万部
   ※1987年の作品だが、継続的に高い売上を記録している。
5. 『火花又吉直樹 - 2015年のベストセラー1位。
   ※正確な売上部数は不明だが、国際的に高い評価を受けている。
7. 『夏物語川上未映子
   ※海外でも高い評価を受け、ベストセラーとなった。
8. 『推し、燃ゆ』宇佐見りん
   ※芥川賞受賞作で若い世代を中心に人気を博した。
9. 『むらさきのスカートの女』今村夏子
   ※芥川賞受賞作でTikTokでも話題になりベストセラーとなった。
10. 『変な家2 ~11の間取り図~』雨穴 - 2023年のベストセラー1位。
 
この期間の日本現代文学では、従来の人気作家に加えて、新しい世代の作家たちの作品が注目を集めています。またSNSなどのデジタルメディアの影響力が増し、作品の普及や人気に大きな影響を与えていることが特徴的です。
 
 
まとめ 日韓現代文学6つの違い
perplexityによると、この時期の日本と韓国の現代文学には6つの違いが見られるようです。
 
1.フェミニズム文学の影響力
韓国では、フェミニズム文学が社会に大きな影響を与えました。2018年に出版された『82年生まれ、キム・ジヨン』は、韓国でフェミニズムの波を引き起こし、日本でも約29万部を売り上げる大ヒットとなりました。一方、日本でもフェミニズム文学は注目されましたが、韓国ほど社会現象を巻き起こすには至りませんでした。
 
2.社会問題への取り組み方
韓国文学は、社会問題を直接的に扱う傾向が強く、読者も社会問題や政治批判といった時代性を求める傾向が強いです。一方、日本現代文学では、社会問題を扱う作品も増えていますが、より個人的な視点から描かれることが多く、直接的な社会批判よりも、個人の内面描写を通じて社会問題を浮き彫りにする傾向があります。
 
3.国際的な評価と翻訳
韓国文学は、この期間に国際的な評価を大きく高めました。2024年にはハン・ガンがノーベル文学賞を受賞し、韓国文学の世界的な地位を確立しました。日本文学も国際的に評価されていますが、韓国ほどの急激な成長は見られませんでした。
 
4.若手作家の台頭
韓国では、90年代半ば以降に登場した若手作家たちが、個人や日常の話を中心に据えた作品で読者の共感を得ています。日本でも若手作家の活躍が目立ちましたが、SNSやアイドル文化など、より現代的なテーマを扱う傾向が強く見られました。
 
5.翻訳出版の増加
韓国文学の日本での翻訳出版は、15年で約20倍に増加し、年間200~300タイトルに達しています。一方、日本文学の韓国での翻訳は以前から盛んでしたが、この期間にさらなる増加は見られませんでした。
 
6.K-カルチャーとの相乗効果
韓国文学は、K-POPやドラマなどのポップカルチャーと相乗効果を生み出し、若い読者層を獲得しています。日本文学にはこのような顕著な現象は見られませんでした。
 
というわけで、韓国現代文学がより社会性と国際性を強め、急速に世界的な注目を集めたのに対し、日本現代文学は個人の内面や日常に焦点を当てつつ、より緩やかな変化を遂げたと言えるでしょう。
 
 
以上、perplexity調べでした。
いや~長かったですね!
 
気になる本はありましたか?
私は読んだ本もあれば、初めて知った本もあるので、また積読が増えそうです。
 
それでは今度こそ、お読みいただきありがとうございました♪