本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『哀れなるものたち』感想

 

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こんにちは。
いつのまにか庭の椿が咲いていて、いつのまにか地面に落ちていたことに気づいたサトーです。
寒くなると庭に出なくなるので気づかなかったんですね。
赤い花が地面に落ちているのを見るのは、なんだかドキッとしますね。

 

さいきん観た映画の感想です。


ネタバレしてるので、ご注意ください。

 

 

ストーリー

自ら命を絶った女性(エマ・ストーン)は、天才外科医ゴッドウィン(ウィレアム・デフォー)の手によりベラとして蘇る。ベラは、安全な場所に閉じ込めようとするゴッドウィンの元を離れて、自分をかどわかしにきたダンカン(マーク・ラファロ)と旅に出る。

 

www.searchlightpictures.jp

 

金と暴力

出てくる男たちのほとんどはベラを囲って支配しようとします。
ゴッドウィンことゴッドは、ベラを子供というか実験体として安全な家の中に閉じ込めようとするし、ダンカンは快楽と性欲の対象として側に置こうとするし、元旦那は暴力の捌け口としてベラを拘束します。
ベラは全てを拒否し、はねつけ、自由を求めていくんですね。

 

ベラはなぜそうなのか?というのは理由があって、彼女は成人女性として死にましたが、ゴッドによって赤ん坊の脳を移植されたんですね。
それでベラは赤ん坊の脳からスタートし、やがて学習を重ねて成熟した思考を獲得していくんです。


なので最初はおとなしく男たちの言うことを聞いていたベラも、成長するにつれ自己を主張しはじめるんですね。

 

で、ベラは赤ちゃんから子供になり、性に目覚めた思春期を経て、肉体年齢にふさわしい脳みそを形成していくんです。
ベラが飛躍的に成長したのは本を読み、その場その場で適切な人と会話し、言葉と思考を自分の血肉にしてきたからなんでしょうね。

 

面白いなあと思ったのはですね、お金が自慢で財力に自信があったはずのダンカンはお金を使ってベラを楽しませるんですが、最終的にお金で破綻するんですね。
で、暴力でベラを支配しようとした元旦那は、最終的に暴力でベラに屈することになるんです。
おもしろいですね。彼らが振り回していた「力」で、彼ら自身が破滅へ追いやられるんです。因果応報ですかね。

 

あとこの金と暴力というものは、経済力のない女性が屈しやすいものツートップかなと思いました。お金が稼げないから結婚するとか、暴力男だけど別れられないとか、日本でもありますよね。

 

仕事と自立

ネタバレするとベラは身売りするんですよ。
そんなわけで聞いてたとおり、セックスシーンが多いんですけど、あれはベラからすると「娼館での仕事」であって、彼女自身が恥いったり後ろめたくなることはないみたいなんですね。その必要がないのかもしれません。
ベラも「自分で稼いでる」と言っていましたからね。

 

自分の体を使って、自分で労働して、自分で金を稼いでいる。
それって今までのベラからすると自立してるってことですからね。
男に頼らずに。

 

ベラはその脳の特性上、モラルや羞恥心や共感性を持っていないようですが、そのかわりゴッドに影響された強力な思考力があるんですね。
その思考力のおかげで、彼女は男たちや世間の俗説に振り回されなかったんだと思います。

 

「女たちが選べばもっと幸せになると思うの」

 

娼館で男が女を選ぶシステムに対してベラが言います。
これを見たときですね、まあその気持ちはわかるけど、それはお金を払う方に選ぶ権利が・・と私は思っちゃったんですよね。
でもベラはこの仕組みに納得してないんです。

 

ベラのその意見は資本主義をガン無視してるんですよね。
なぜそれができないかというとお金を払っているのが男だから…と思った私はきっと資本主義に支配されているんですね。
でも、ベラは違うんです。
資本主義や経済学や力関係や礼儀作法を無視して突っ走る、それがベラなんです。

 

あと、「娼婦は恥ずべきもの」というのはもしかしたら男性が生み出した概念なのかもしれないなと思ったりしました。(まあ娼婦を非難した女性もいたでしょうけどね)
誰かがあいつは○○だから恥ずべき商売だ、なんてレッテルを貼らなければ○○は恥という概念も生まれないわけですからね。
まあそのへんは別の話になりますかね。

 

そういえば売春する女は恥だけど、買春する男は恥とは言われないなと思いいたりました。なんででしょうね?もしかしたら、これも「金を出してる方が強い、偉い」みたいな資本主義の歪んだ形の表れでしょうか?

 


まとめ

タイトルの哀れなるものたちってPOOR THINGSなんですね、「物」であって、MENとかHUMANとか「者」じゃないんですね。

 

それって体を切り刻まれ、入れ替えられたものたちでしょうか?それとも登場人物全員でしょうか?原作を読んでみたいですね。

 

エンドロールの画像は「哀れなる物たち」なのかなと思いました。
錆びたり、古びたり、忘れられたりした物たち。


おそらく俳優や制作陣の名前は額縁みたいになってたと思うので、ちょっと読めなかったんですけどね。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪

 

 

 

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