こんにちは。
家父長制と資本制がどんなふうに関わっているのか知りたくてこの本を読んでみたサトーです。
感想です。
この本は
完成までに10年かかっているそうです。
著者がマルクス主義フェミニズムを知って、渡米し、雑誌に連載し、リライトして本になるまで長い年月がかかったそうです。
内容としては、家父長制の中で女性や女性の労働がどのような位置づけにあったのかとか、労働力とみなされない人=老人、病人、子供、女性がどのように扱われてきたかとか
労働力とみなされないということは二流市民ということで、二流市民ということは人権は軽視されるか無視されるということ、とか
家事労働が軽視されるのは価値を生産しないからなのかとか
家父長制というのはすなわち家族を支配するということで、それは性を支配し搾取することだ、とか
専業主婦が「奥様」という立場を捨て、働きに出たのは家電と関係しているとか、大変興味深くて濃い内容でした。
引用いろいろ
いくつか引用します。
いったい人間は、放っておけばどこまでも欲望のおもむくままに性交を繰り返し、受胎調節に無知なままに妊娠し、生殖年齢の全期間にわたって子どもを産みつづけ、その大半を不衛生な環境や病気で失うーーそんな野蛮な生きものだろうか。
これを読んで思い出したのは、いまだに日本女性にとってアフターピルは入手が難しく高額だったり、望まぬ妊娠をしても中絶が容易でなく母子ともに悲惨な結果になったり…そういう現状が、日本にはありますよね。
で、それは主に法整備が2023年の現状に追いついていないということだと思うんですが、その法整備を誰がやっているかというと、女性の身体について無理解な人たちですよね。
そういう無理解な人たちのように、女性が自分自身の身体について決断することを頑なに拒む層が存在しているよなあと。そういうことを思い出しました。
性教育と「女性が自分自身の身体に決断する権利」に関しては、日本はずっと進歩がないですからね。
だとすれば、私たちは「何が正しいか」ではなく、「何が正しいとその人が考えたがっているか」を考えるほかない。
前時代的な育児方法や、母親像を押しつけてくる人々のことですね。
育児は母親がやるべきだ、母乳じゃなきゃ・手作りじゃなきゃ愛がないだろ、母親は仕事を辞めて家にいろとか、そういったことを言ってくる人々ですね。
そういうことを言ってくる人は「それが正しいと考えたがっている」そうなのです。だから、そういうのはスルーでよさそうですね。
もし言われたら、「うるせえ、お前の幻想をこっちに押しつけるな」とでも言ってやればいいと思います。ハイ。
ほかにも、川副氏との議論めいたものも興味深かったです。
まとめ
上野氏の本は相変わらず情報量がすごくて、一度読んだだけでは理解は追いつかないんですけども、大変おもしろかったです。
そしてマルクスの資本論はやっぱり読まないといけないなーと思いました。
それでは、お読みいただきありがとうございました♪