本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

本、映画、ドラマの感想を書いています。

『ナショナリズムとジェンダー』感想

 

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こんにちは。
戦争に関する本を読むのは気が滅入るので嫌なのですが、このご時世なので仕方なく読んでいるサトーです。
というのも税金が長射程ミサイル購入に使われたり、石垣島に新たに自衛隊が配備されたりして、政府が戦争ウェルカムモードぽいので、太平洋戦争の惨劇が繰り返されたらどうしようと心配しているからです。

 

というわけで読んだ本の感想です。

 


日本の戦争とジェンダー

 

 

この本は
主に日本における戦争と、
その戦争から生じたジェンダー問題について
書かれています。

 

Web検索をすると
ナショナリズムとは、国家という統一、独立した共同体を一般的には
自己の所属する民族のもと形成する政治思想や運動
とあります。

 

ジェンダーとは
内閣府のWebページによるとこうあります。


一般的にジェンダーは生物学的な性差(セックス)に付加された社会的・文化的性差を指します。
「男性だから・女性だから」、と枕詞がついて「こうあるべき」姿として、それぞれが所属する社会や文化から規定され、表現され、体現されます。

第70回 性差:ジェンダーとセックスの違い : 内閣府国際平和協力本部事務局(PKO) - 内閣府

 

 

ユニセフによるとこうです。


ジェンダーは、何が女性的で、何が男性的かを表す、社会的・文化的に構築された概念です。しかし、社会で構築されたルールや習慣は、女の子や女性を教育や社会参加などから遠ざけ、未来への可能性を閉ざしてしまう要因にもなっています。

ジェンダーの平等 | ユニセフの主な活動分野 | 日本ユニセフ協会

 


1998年刊行

この本は1998年に刊行された
同タイトルの本と、
それ以降の同じ主題について発表された
論文をまとめたものだそうです。

 

目次を見ると内容がイメージできると
思います。

 

従軍慰安婦問題をめぐって
・今も続く「軍隊と性犯罪」
・沖縄女性史の可能性
アジア女性基金の歴史的総括のために

 

などですね。
正直、読むのはハードでしたが
知らないことも多かったので
読んでよかったです。

 


感想

読んでいて思ったのは、
著者は根っからの研究者なんだな
ということです。
こういうと上から目線になっちゃうんですが
ものすごい量の情報をもとに
書かれた本なんだなということが
わかりました。

 

自著解題にありましたが

わたしの90年代はほぼ「慰安婦問題」で埋め尽くされた。
本書はその10年の記録である。


そうなので
10年分の研究結果が凝縮されているなら
この濃さにも納得ですね。

 

主に事実だけを並べて、
なるべく感情を排しているので
読みやすいです。

 

あと、ご自身へのアンチの反応
取り上げているので
メンタルが相当強そうだなと思いました。

 

ツイッターでもたまに著者への
アンチ発言を見ることがあります。
私にはその理由はわからないんですけどね。

 

ツイッターで反撃する人はいても
本の中で、自身への反対意見などを
茶化さずに取り上げてる人は
これまであまり
見たことがなかったので驚きました。

 


印象に残った言葉

印象に残った言葉は
たくさんあるんですが
少しだけ引用します。

 

長谷川テルの言葉で、戦争には

「よい戦争」「悪い戦争」

があると。

 

「事実」は、それを見ようともしない人にとっては、
「事実」ですらない。

 

「えーっ、日本てアメリカと戦争したんですか。で、どちらが勝ったんです?」と無邪気に問い返す

若者がいた、とか。

 

1998年の本なので
日本とアメリカの戦争を知らないのは
当時の教育がどうのというより
本人の無知だと思うんですが・・・

 

それから25年経った今では
そういう若者が増えていそうなので
ちょっと怖いですね。
そうなると、もう個人というより、学校教育の問題だと
思います。

 


今もあまり変わってない?

1998年の本ですが
現在にも通じる話が多かったです。

 

国民性と個人を混同させて
感情的になってしまう人とか

 

同じ敗戦国であるドイツと日本の戦後処理のあまりの違いに、わたしはその理由を考え続けていた

とかですね。

 

そして元駐日ドイツ大使だった
フランク・エルベさんの言葉です。

 

 

和解とはもろいものです。ちょうどこわれやすいものを、
双方が手をさしだして支えるようなプロセスの中でしか、
和解は実現しません。

 

 

これには衝撃を受けました。
確かにそうですね。
強引に押し進めたら
それは和解ではなく
強要になっちゃいますもんね。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました。