本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『クイア・スタディーズ(思考のフロンティア第Ⅱ期)』感想

 

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こんにちは。
七夕の予定はまったくないサトーです。

いきなりクイアって何?と聞かれて説明できなかったのでこの本を読んでみました。

 

引用が多くなってしまったので
怒られないか心配です。

 


クイアとは

 

 

 

この本では、クイア(queerについて
最初にこう説明しています。

 

「変態」「オカマ」などを意味し、非異性愛者を差別的に叙述したり、またそうした人々に対して「揶揄」あるいは「非難」の意味をこめて投げかけるための、歴史的には英語圏に起源をもつ言葉であった。

 

そして80年代終わりまでには

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、などの非異性愛として(中略)
「細分化」されたカテゴリーを「集約」する便利な言葉として「クイア」という用語が流通した。

そうです。
また、80年代以降にエイズ問題が
深刻になったときに

エイズの影響をもっとも多く被っていたコミュニティは、ゲイやドラッグユーザーやエスニック集団などのマイノリティであった。(中略)
そしてエイズは医学や治療方法の問題ではなく、政治的および社会的問題

であったため、
政治や社会から放置されていた
マイノリティの人々が
生きるために連帯する必要があった、とのことです。

 


概念

そして、

「クイア」概念やその実践は、規範に対して徹底抗戦を挑み、規範が押しつけてくるカテゴリー化や二元論を瓦解させようという志向性をもつ。

とあります。
この考え方が多様性や社会的寛容さ、
社会的包摂などにつながっていくのかなと思いました。

 


同性愛者への攻撃

興味深かったのは
レズビアンについて書かれたところです。
雑に意訳すると、
レズビアンを規制、禁止することで
女性の身体や女性の性を支配し
コントロールしたい人がいるようだ
ということです。

 

そこで思い出したのが
イギリスのバスの中で、当時10代の男性数人が
レズビアンカップルに殴る蹴るの
暴行を加えた、という記事です。

 

※ショッキングな画像があります。

ロンドンでレズビアンカップルが暴行被害 キス見せるのを拒み 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

 

暴行した理由が
「キスの要求を断ったから」

 

そんな理由で
自分とはまったく関係ないカップルを
攻撃するなんて異常です。

 

犯人が何を考えていたのか
私にはわかりませんが、もしそれが
赤の他人の女性の「性」をコントロールしたいがために
暴行したなのら、納得できなくもないです。
許せませんけどね。

 

理由はともあれ、「オレの要求を断ったから」
という理由で、血が出るまで殴られたら
たまったもんじゃないです。

 


生産性問題

この本には、
「同性愛者は子供を残さないから、受け入れられないし、社会に貢献していない」
といった考えの人も登場します。
それについて著者の考え方も記されています。

 

現実世界を見渡すと、
女性同士のカップルなら出産することも可能だし
男性同士のカップルでも
養子を迎えることも可能です。

 

どちらにしろ、
「将来、国に税金を払ってくれるかもしれない人間を育てることが可能」
であれば、
生産性うんぬんの話は出てこなくなると、
個人的には思うんですけどねえ。

 

もし、子孫を残す理由が
自分の遺伝子をのこしたいとか
財産は血を分けた子に譲りたいのであれば
それは個人的な理由になるので
他人が生産性どうのこうのいう事じゃないですよね。

 

とにかく個人的には
子どもを産む(産ませる)ことが
人間の生産性の指標だと思ってる人のことが
全く理解できないです。

 

人間には生殖能力のほかにも
大きな脳みそがついてるんですけどねえ。

 

産めよ増やせよ、の概念を
刷りこまれて育った人が
そういうことを言うんでしょうか?
わからないですねえ。
それに今の日本は、少子化がどんどん進んでいるので
生産性どころじゃない気がします。

 


まとめ

著者はあとがきで
人はなぜ「普通」になりたいのか
という問いについてもふれています。

 

「普通」であることが正しいと思い、
「普通」でいられるように生きてきた人にとって
そこから少しでも外れている人は
「異常」に見えるのかもしれませんね。

 

私はこの本にあるような視点で
物事を考えたことがあまりなかったので
大変興味深く読みました。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪