本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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短編集『いずれすべては海の中に』感想

 

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こんにちは。
SFはあまり読まないサトーです。
さいきん読んだ本の感想です。

 


短編集

 

 

 

この本は、かなり短い短編が9つと
長めの短編4つからなる本です。
ジャンルとしてはSFファンタジーになるんだと思います。
たぶん。

 

かなり不思議な世界観で、
人間の肉体や田舎町、道路やバスや楽器といった
ローテクなものから

 

ロボットアームとか変形する車とか
宇宙空間で生活する人々といった
ハイテクなものが入り混じった世界です。

 

最初に出てくる「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」は
まだ地に足がついてる感じはするんですが

 

風はさまよう」になると、
登場人物たちは文字通り大地を離れて
ぶっ飛んだ世界で暮らしています。

 

かと思えば「孤独な船乗りはだれ一人」は
お伽話や昔話のようなファンタジー世界だし

 

肉体や楽器などの物質的なものは
旧来のローテクなものであっても
取り巻く環境や、生きる世界がSFチックという
なんとも形容しがたい独特な世界観です。

 

だからといって読みにくいということはなくて
むしろ読みやすいです。

 

世界観の細部はあいまいにされていたり
ほのめかす程度で終わっているので
白黒ハッキリつけたいタイプの読者には
向いてないかもしれません。

 

逆に、あいまいで抽象的な物事を好む人には
居心地のいい世界となるでしょう。

 


お気に入り

私のお気に入りは
不思議な車で旅をする「イッカク」と
探偵物語風にすすんでいく
そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」です。

 

「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」は
作者であるサラ・ピンスカー本人と思われる
人物が登場します。

 

そして、たくさんのサラが出てきます。
途中から誰が誰だかわからなくなってきますが
たぶん精緻に読み進めていけば
整合性はとれているはずです。

 

「量子存在学」という言葉がでてくるので
おそらくこれは量子力学とか
時間の概念がどうのこうのという
難しいところの話だと思います。
(当てずっぽう)

 


ふしぎな世界がたくさん

この本は全体的に、異性愛カップルが少なくて
男女のグループはあっても恋愛関係にないとか
(「オープン・ロードの聖母様」)

 

女性同士の関係性のみが描かれているとか
(「いずれすべては海の中に」
「死者との対話」
「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)

 

そういった設定が面白かったです。
恋愛関係にとどまらない人間関係が
描かれています。

 


まとめ

私はこの本にあるような世界観は
想像したことがまったくなかったので
とても新鮮で、特に後半は面白く読みました。

 

最初は「右腕が道路になりたがっている」
なんてどういうことじゃ???
とびっくりしましたが
途中からはこの世界観に慣れてきました。

 

一番、驚いたのは、「死者との対話」で
ジー・ボーデンの名前が出てきたことです。
あの話は、やっぱりマニアには
人気があるのでしょうね。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪

 

 

 

↓↓↓リジー・ボーデン事件の映画化はこちら

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