本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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仏映画『波の間に』感想

 

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こんにちは。
伊藤環境大臣水俣病犠牲者の団体メンバーに超失礼な態度をとったと知って、この国、終わってんなと思ったサトーです。
本当に終わってますね。

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さいきん見た映画の感想です

 

ストーリー

2021年のフランス映画です。

女優を目指すマルゴとアルマ。ふたりは親友。
オーディションの結果、アルマが舞台の主役に選ばれ、マルゴが代役をつとめることに。
ある日、舞台稽古の最中にアルマが倒れて病院へ運ばれる。
見舞いに来たマルゴは、そこにいたアルマの姿を見てショックを受ける。

 

マルゴの捉え方

この映画はですね、ネタバレしちゃうと、「女優を目指していた仲良しふたりの片方が病にかかって治療のために夢をあきらめる一方、もう片方は夢が叶って成功を手に入れる」という、親友同士のかなり非対称なストーリーです。
親友だった2人がたどり着いた結末は正反対なんですね。

その非対称ぶりに感動する人もいるらしいんですが、私はちょっと違う見方をしたんですよね。

 

白人のマルゴとアフリカ系のアルマがいるんですけどね。
病にかかるのはアルマなんですよ。

 

アルマが最初に主役の座を射止めたんですが、マルゴによって入院させられたため、その日から舞台稽古ができなくなったんですね。
で、責任者と話した結果(マルゴはアルマの病気を勝手に責任者に打ち明けた)、アルマは降板してマルゴが主役をやることになったんです。

 

で、マルゴはそのことをアルマに言わない(言えない?)んですよ。
主役はいつの間にか自分ではなくなって、親友のマルゴになったという事実を、アルマは事前説明をうけずに、目の前でいきなり見せつけられるんですよ。

 

かなり酷ですね。おまけにそのことを責めたら親友のはずのマルゴは仕方ないじゃない、と開き直るんですよ。謝らないんです。
マジかーこれが親友なのかーとショックです。

 

で、マルゴなんですけどね、その後もアルマの病室に行って一緒にセリフの練習をしたり、治療で苦しんでるアルマに向かって「なんで病気のこと隠してたの」と責めたり、舞台衣装を持ってきてアルマに着せたりするんですよ。

 

これね、アルマが寛容だから美談になってますけど、私ならヒステリー起こしてマルゴを病院から追い出してますね。だって傷口に塩を塗りこむようなもんですからね。

 

で、マルゴはアルマの見舞いに行くと、アルマは会ってくれないときがあるんですよ。そりゃそうですよね、この頃には死を悟っていたようなので、いくら親友とはいえ会いたくない日もあると思うんですよ。

 

でも、そんなアルマにマルゴは怒りをぶつけるんです。
なんで会ってくれないの!ドアを開けて!バンバンとドアを叩くんですね。

 

いやいや、相手は病人だから察してやれよ・・・
なんで健康で主役になったお前の感情を彼女にぶつけてるんだよ・・・なんでお前の相手を病人のアルマにさせようとしてるんだよ・・・と、こっちはドン引きなわけですよ。

 

こういう部分をね、マルゴは頑張ってる…親友に寄り添おうとしてる…(涙)ととるのか、私みたいに、いやいやそれはお前わがままってもんだろうよと思うかで、マルゴの解釈が変わってくるんですよね。

 

私の印象としてはマルゴはかなりの子供です。子どもみたいな未熟な精神です。
自分の思うようにやりたいけど自分は悪者になりたくないし、悪者になりたくないからアルマに尽くして気を遣ってるフリをするし、善意の押しつけもするし、病人のアルマに気を使わせるしで、すげー偽善者で嘘つきに見えたんですよね。
だから見ていて途中からすごい疲れました。

 


仲良しのふたり

マルゴとアルマの2人の仲の良さというのが最初に描かれるんですが、これがかなりのハイテンションなんですよね。
その高すぎるテンションを2人が共有してて、いろんなことに対して面白おかしく笑い転げてるんですよ。

 

その高すぎるテンションで笑っている2人を最初に見せて、ほうら2人はこんなに仲がいいでしょって説明してるみたいなんですよね。
で、そのあと2人が仲違いすると、このときのテンション高く笑っていた頃の2人が思い出されて、ああ、あんなに仲良かったのに・・・
と見てる側はなるらしいんですね。

 

何が言いたいかというと、最初のテンションは高すぎだし、この2人は躁状態じゃないかなと、私は見てて不安になったということです。
若くて元気で陽キャだからといって、しかも親友同士だからって、あそこまでテンション高くなりますかね。

もしかして何か飲んでたのかもしれませんけどね。

 

ビジューつきニット

マルゴの衣装もちょっとどうかなと思ったんですよね。
泣いてるアルマの母が、マルゴの胸に顔を伏せるシーンがあるんですけどね。そこでマルゴが着てるのが、おもちゃの宝石がたくさんついたニットなんですよ。

 

「ビジュー ニット」で検索してもらうとわかるんですけどね。ニットの胸元に石ころくらいの尖ったおもちゃの宝石がガチャガチャついてるんですよ。そんな痛そうな胸元に顔を乗せなきゃいけないお母さんも嫌だったろうなーと思ったわけです。

 

というよりこれはスタイリストか監督のセンスの問題でしょうね。
こんなシーンでこんな服着せるかな、というね。まあマルゴは後半はスパンコールのトップスとかそんなやつばっか着てたので、彼女のライフステージが上がったとかそういうことを表現したかったのかもしれませんけどね。
まあ単に衣装提供元との問題かもしれませんが。

 

細かいんですけどね、こういう細かいところでアルマ側への配慮ができてないところが嫌だったんですよ。個人的にね。

 


まとめ

ほとんど悪口ばかりになってしまいましたね。

 

ついでに言うと、私がマルゴを嘘つきだと思ったのはですね、彼女が男に口説かれたときに「今は誰かと交際してる場合じゃない」みたいなことを言うんですけど結局、付き合うんですよ。なんじゃそりゃ、と。

まあこれは嘘つきとはちょっと違うかもしれませんが。

 

アルマにも嘘ついてましたしね。
マルゴは気分と言うことがコロコロ変わるティーンエイジャーみたいでした。
ティーンエイジャーが気分がコロコロ変わる噓つきという意味ではないです。

 

結局、マルゴは恋人を手に入れて、舞台も成功するんです。
アルマは回復することなく亡くなります。 

 

マルゴ側からすると「親友をなくしたけど頑張ったヒロイン」ですけど、アルマ側に立ってみると踏んだり蹴ったりです。

 

なので、どちらの側に立つかでこの映画の受け止め方が変わってくると思います。
私はですね、親友に裏切られて役を奪われて、入院しっぱなしで病気も治らないアルマに同情しましたね。


それでは、お読みいただきありがとうございました♪

 

 

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