本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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タンザニアの商人から学ぶ『「その日暮らし」の人類学〜もう一つの資本主義経済〜』感想

 

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こんにちは。
なんだかんだ言って、個人事業主はやっぱりその日暮らしだなーと思うサトーです。
最近読んだ本の感想です。

 


Living for Today

 

 

 

Living for Todayとは
その日その日を生きるという意味。

 

この本は、主に著者が長年調査してきた
タンザニアの都市部に生きる人々の
お金やビジネスに対する考え方、
生き方が記されています。

 

彼らは会社や組織に属しているわけではないので
日本で言えば個人事業主になるのでしょう。

 

なので、自分で仕事を見つけて
お金を手に入れる必要があります。

 

そのための彼らの創意工夫や、仕事の見つけ方
ビジネスや人間関係への考え方が書かれています。

 


利益を独占しないビジネス

一方で、彼らはビジネスなのにその手法を
他者に平気で教えたりすることもあります。
いわば金脈を無料で知人に教えちゃうんですね。

 

日本の感覚ならあり得ないですよね。
例えばマーケティングなどでは
ファーストペンギンが一番有利であると言われます。

 

最初に飛び込んだものは利益を多く得られます。
そのあとは二匹目のどじょうで、
取り分はファーストペンギンより減ります。

 

そして三匹目以降はたかが知れています。
そのころには市場はもう飽和していることが多いのです。

 

この考えがあると、タンザニアの人々の
「ビジネス手法を簡単に人に教えちゃう」というのが
まったくもって理解できませんが、
彼らには彼らの言い分があるようです。

 

彼らからするとビジネス手法を
人に教えるのは大したことではないらしいのです。

 

レッドオーシャンとかブルーオーシャンという言葉を
知っている私には大変理解しづらいのですが
もしかしたら、彼らには
富を独占したり、秘密を抱え続けるという
概念がないのかもしれません。

 


大事なのは人間関係

その一方で、彼らは人間関係をとても重視します。
貸した金が返ってこなくても催促しないとか
親戚に金を無心されても渋々、送金するとか。

 

金の貸し借りは当たり前にある世界らしいのですが
読んでいると、
どうやら彼らには自分の財産と他人の財産の境界線が
ないか、あってもかなり曖昧なのかも
しれないなと思いました。

 

彼らのやり方や、彼らが生きる社会が
正しい正しくないとか、進んでいるかいないかは別として、
そいういうふうにして彼らの
Living for Today、その日その日を生きるスタイルが
成立しているのですね。

 


まとめ

ナタリー・サルトゥー=ラジュの『借りの哲学』から
引っぱってきた
人間はどうあがいても<借り>からは逃れられない
ということを認める必要がある

という言葉や

 

人間関係を重視する社会において
携帯は嘘をつくことを容易にした」という事象は、
私自身にも当てはまるので、
考えさせられました。

 

私も個人事業主で、
いわばその日暮らしのようなものなので
仕事がうまくいったりいかなかったり、
収入は波があって安定しないんですが

 

そういう状況でもなんとかやりくりしていって、
時にはこれでよかったんだと
ほっと一息つけることがあります。

 

そういう状況で生きてきたので、
本書にでてきた
日常を何度も生き直す術
という言葉に力をもらいました。

 

あとがきに書いてあるように
論文調ですこし堅い文章ですが
地球の反対側で生きる人々の
Living for Todayを知ることができます。
読みごたえもありました。

 

私も個人事業主として
Living for Todayを頑張っていきたいと思います。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪