本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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ヒーローの素顔『アラビアのロレンス』感想

 

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こんにちは。
砂漠には行ったことがないサトーです。
よって、ラクダにも乗ったことがありません。

 

今回見た映画は、砂漠で戦って、ラクダも馬もたくさん出てくる映画です。
ネタバレがあるので、まだ見てない方はご注意ください。

 


第一次世界大戦、アラビア

 

 


この映画はですね、簡単に言うと
アラビアの言語や文化に詳しいイギリスの将校ロレンス
アラビアの部族たちと協力して
トルコ帝国と戦って勝利をおさめる話です。

 

構図としては
イギリス&アラビアの部族たち
vs
トルコ帝国&ドイツ。

 

時は第一次世界大戦。場所はアラビア
トルコに支配されていたアラビアと各部族たち。
アラビアはトルコと戦っています。

 

しかしアラビアは、ドイツ連合軍が持つ兵器に
手も足も出ません。やられっぱなしです。

 

そこへ登場したのがロレンスです。
彼は持っている地図の知識や知恵を駆使して
ファイサル王子や友人アリ首長のアウダと協力し
トルコ帝国と戦います。

 


みどころ

個人的に見どころだと思った点を書きます。
主人公ロレンスはですね、最初は風流人だったんですよ。
風流人で変人ですね。


冗談を言ったり、変な手品を見せたり、変な敬礼をしたり
井戸水をティーカップで飲んだり
穏やかで独特の話し方で、変なところもあるけど
どこか憎めない風流人だったんです。

 

ところが。
アラブで拷問されてからは人が変わるんですね。
当然ですね。
拷問なんてされたら、人格や精神が破壊されるんです。

 


PTSD

そこからは、ロレンスは人が変わってしまうんですね。
軍服を着て歩いていても、どこかぎこちないんです。
拷問で受けた傷が癒えてないんですね。

 

そして故郷に帰りたい帰りたい、と言います。
こんな任務はもう嫌だ、とね。

 

発症が早いのでPTSDと言えるかはわかりませんが、
調べたら戦争神経症という呼び名もあるそうです。

 

病名が何にせよ、あの風流人だったロレンスは
この頃にはもういないんですね。

 


若者たちが死んでゆく

あとイギリス陸軍の司令部はおそらくカイロにあるんですが、
将軍や参謀みたいな人たちは戦場に行かないんですね。

 

将校専用のバーというかサロンみたいな部屋がある豪奢な建物で、
作戦会議をしてるんです。
そこでロレンスにも命令を下すんですね。

 

そこでこの言葉を思い出しました。

戦争はおじいさんが始めて、
おじさんが命令して、
若者たちが死んでゆくもの

 

Yahoo知恵袋によると、大橋巨泉さんの言葉だそうです。

 

その言葉どおり、おじいさんやおじさんが命令して
若者は戦場へ送られます。
ロレンスは嫌がっていますが、再び戦場へ送られます。

映画の中でのロレンスは27歳くらいです。

 


救えなかった少年たち

実はですね、この映画は
ロレンスがアラビアでの任務と戦いを終えて
イギリスに戻ったあとから始まるんです。

 

ロレンスはバイクに乗って田舎道を飛ばします。
スピードを上げて、笑いながら走ってるんですが
坂の向こうから現れた少年2人を避けようとして事故にあい、
そのまま亡くなります。

 

映画を見終えると分かるんですが
その少年2人を見て、もしかしたらロレンスは
アラビアで救えなかった
少年ダウドファラジを思い出したのかもしれませんね。

 

また、最後まで見て、最初から見直してみると
いろんな人物の本音が聞けておもしろいです。

 


ヒーローの素顔

この映画がショッキングなのは
ただのヒーロー映画ではないことなんですよ。

 

ロレンスは拷問を受けたあとは残虐行為をためらわないようになるし
もっと楽な仕事に就きたい、
こんなところはもう嫌だとか平気で言っちゃうし。

 

彼はタフなヒーローではなく
脆い普通の人間なんだなとわかるんです。

 


ラクダと馬

余談ですが、この映画にはラクダと馬がたくさん出てきます。
アラブの兵士はほとんどラクダか馬に乗っています。

 

その中でも見事だなと思ったのは、
ハウェイタットのアウダ役の人が、
手綱さばきというか、馬の扱いが上手いんですね。
馬もよく訓練されているんです。

 

私も馬の動きの良し悪しがわかるわけではありませんが
短い距離でダッシュして急に止まるとか
ステップを踏んだりとか、ほんのわずかバックしたりとか。

 

とにかくこの人の馬の扱いが見事なんですよ。
あと、この人たちのお馬さんが頭飾りをつけていて
それも可愛いです。

 

そう考えると、あれだけのラクダや馬を同時に扱うのは
本当に大変だったろうなと思います。

 

たぶん馬だけでも大変なのに、ラクダもいるんですよ。
見る機会があれば、
ぜひ馬やラクダの動きにも注目してみてください。

 


まとめ

戦争が怖いなと思ったのは、
完全に心を病んでいてPTSDを発症していて(当時この言葉はない)
嫌がってるロレンスを再び戦場に送り出したことでした。

 

傍目にはどう見てもまともではなくなっているロレンスを
その原因となった戦場に送り返すんですよ。
ブラック企業も顔負けの残酷さです。
戦場ってそういうところなんですね。

 

あと、この映画は実話をもとにしてるんですが、
実際のロレンスはイギリスに帰ったあとも、
自分をムチで打たせていたそうです。

 

これも完全に後遺症ですよね。
思うに、何らかの痛みや苦悩を忘れるために
自分を痛めつけていたのではと想像します。
彼は適切な心のケアを受けられなかったのかもしれません。

 

また、この映画ではセリフのある女性が一人も出てきません
私の記憶では、出てきませんでした。

 

ハウェイタットの女性たちはそこにいるだけ、
また別の一族の女性は犠牲者として登場してたような。

 

もしかしたら、当時のロレンスが
女性との関わりが薄かったことが
影響しているのかもしれませんね。

 

ロレンスが書いた本もあるらしいので
読んでみたいなと思いました。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪