本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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反骨精神とアンチテーゼ『ダハード〜叫び〜』感想

 

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こんにちは。
インド映画は見たことあるけど、インドのドラマは初めて見るサトーです。
欧米ドラマを見慣れている身としては、かなり新鮮でした。


ストーリー

 

インドのマンダワ警察署に勤務するアンジャリ警部補
体術もできて、気が強くて、仕事熱心です。

 

現在マンダワ署では、行方不明になっている女性たち、疑いをかけられた男、乗りこんでくる議員などがいて問題が山積みです。

 

一見なんでもないように見えた女性たちの自殺と失踪事件が、やがて糸で結ばれていき全容が見えてきたころ、アンジャリたちは驚愕の事実に直面します。

 

アンジャリや署長たちはそれぞれの日常に問題を抱えながらも、女性たちを探しつつ、狡猾な犯人を追いかけます。

 


インド怖すぎ

第1話を見た感想は、インド怖すぎ!でした。
インドは女性蔑視の国と聞いていましたが、階級や身分が違えば男でも平気で殺すみたいです。


1話のラストが怖すぎでした。社会的地位のある議員が証拠もなく、一般市民を私刑にかけるんですよ。インド怖すぎです。

 

結婚できない女性たち

主役のアンジャリは女性警部補なんですが、独身で母親から結婚をせっつかれています。でも本人は結婚に興味がないみたい。

 

で、被害者の女性たちは階級が低くて、いわゆる行き遅れた女性なんですね。で、家族からも疎まれてます。
「その歳で結婚できないなんて家の恥だ」みたいなかんじで。
女性たちは肩身を狭くして生きてるんです。

 

そんな女性たちをターゲットにしてる男がいて、そいつが真犯人です。

 

女性たちはおそらく結婚に死ぬほど憧れていたし、家族にも未練はないから、白馬の王子様が目の前に現れたら、飛びついちゃうんですね。
犯人はその心理を利用します。

 

この「負い目があって、姿を消しても誰も探さない弱者」をターゲットにするのが実に陰湿で巧妙な手口だなと思いました。

 

日本でも家で少女を狙った犯罪とかありますよね。
そういう卑劣な手口です。

 

アンジャリ

主役のアンジャリは、現代的な考え方をもっています。
というよりも先進国では当たり前の価値観ですが、彼女が生きている場所ではそれは先鋭的すぎて、理解されないんですね。

 

でも警部補まで出世してるので、実力はあるし環境がよかったのでしょう。

 

このアンジャリを演じているのがソーナークシー・シンハーで、彼女は身長167cmだそうです。
このドラマでは彼女より背の高い女性が出てこなかったと思うので、女性としてはかなり体格がいいほうだと思います。

 

そしてこの方、とんでもない美貌なんですよね。
びっくりするくらいの美貌で、全方位から見ても完璧な美しさです。

 

で、アンジャリはこの美貌でクソ生意気な態度をとるんですよね。
このギャップがよいです。
署長とか先輩とかもひるむくらいのクソ生意気さなんですよ。
だからこそ彼女は、あの社会で警部補にまで登り詰めることができたんだと思います。

 

でもまあ、やりすぎると署長や先輩に怒られてましたけどね。
そのときは彼女も素直に謝っていました。
いちおうは警察という縦社会を理解してるみたいです。


アンジャリの仲間たち

アンジャリを支えるのは理解ある署長と、先輩のパルギです。
この2人の家庭の事情も描かれていたのがよかったです。

 

署長は保守的な考え方の妻と、娘の教育をめぐって口論するし浮気まで疑われます。

 

そしてとても感動的だったのはパルギの心境の変化です。


彼は最初、人を愛せなかったんですね。人を愛するのも、信じるのも怖かったんです。


警察の仲間も、妻も、義父母も、生まれてくる予定の子供も。

愛せなかったし、信じられなかった。

こんな酷い世界で子供をもうけるのが怖かったんです。

 

で、ある事件があって、エライ人の命令に背いたアンジャリと署長を密告しようとするんです。

 

でも迷いがあったらしくて、丘の上でひとり泣くんです。
このときの胸中は語られないんですが、彼は結局、密告はしませんでした。

 

誰も愛せない人間は辛いんですよね。
彼には妻も家族も同僚もいたのに、その全てを裏切るように動いている自分に気づいたんだと思います。
その辛さを認めた瞬間だったと思うんですね。

 

その後、彼は避けていた妻の妊娠と向き合うことにしました。
家族と向き合うことにしたんです。
今、目の前にいる家族をきちんと愛していこうと決意したんだと思います。

 

そんな彼の描写が、実に見事で素晴らしかったです。


日本ドラマとの比較

わたし最近は日本のドラマを見ていないんで、昔の日本ドラマとの比較になりますが、日本ドラマで実力ある女性が周りの支持を得ていく過程で、どうしても演説スタイルになりやすいんですよね。

演説スタイルというのは、関係者を集めて、感情的になって説教して、相手の道徳心などに訴えかけて支持や共感を得る方法です。
これ、実力じゃなくて説教のうまさでのし上がっていくみたいで、個人的に好きじゃないんですよね。

 

でもアンジャリはこういう演説スタイルではなく、証拠を集めて実力で犯人に迫っていくのでそこもよかったです。
(まあ、大ポカもして怒られてましたけどね。)

 

反骨精神

最終話の8話で、アンジャリが名字を変更するシーンがあります。
インドはカースト制度があるので、どうやら名字だけで階級がわかるらしいんですね。

 

で、昔アンジャリの父親が、娘が楽に生きられるようにと彼女の名字を差別されにくいものに変えたそうなんです。
でもアンジャリは仕事をするうちに、低い階級や名字のことを言われてうんざりします。

 

それで、最後に元の名字に戻すんですね。
差別されにくほうから、あきらかに階級がわかるほうへ戻すんです。
これは勇気がいる行為ですね。
普通はやらないでしょう。

 

でも、彼女は信じてるんですね。
カースト制度による支配は終わり、今は法が支配する世界なので、名字を階級の弾く方に戻しても大丈夫だと。(7話でそう言っていました)


そんなことで自分は負けないし、ダメにならないと。
自分を信じてるんですね。

 

この行為は、カースト制度を重んじる人や既存の世界へのアンチテーゼでもあるし、
アンジャリに悪意を向ける人々への、彼女の反骨精神のあらわれなんですよね。
それをやったのが未婚で階級の低い女性なんですよね。
その描き方がすごいなと思いました。

 

インドでこれを放送したらドえらい事になりそうですけど、実際の反応はどうだったのか気になりますね。

 

まとめ

それにしても凄いドラマでした。

 

真犯人を突き止めたあとも二転三転するし、カットやシーンが細かくてエキストラもたくさん出ていたので、予算も手間もかなりかかったのではないでしょうか。

 

余談ですが、アンジャリたちが話している言葉が、訛りの強い英語なのか、英語まじりの現地語なのか判断できませんでした。何語なんでしょうね?

 

最終話はサイコパス・アーナンドの話がメインで、アンジャリの出番は少なかったですが、最後まで面白く見ることができました。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪

 

 

【スターを非表示にしました】
いつもスターをくれる皆さんありがとうございます。
年末になり、多忙になってきたのでスターを非表示にしました。
余裕が出てきたたらまた表示します。