本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』感想

 

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こんにちは。
こっちが「痛い」って言ってるのに、赤の他人が「いや痛くないでしょ笑」と言ってきたら般若のごとく睨みかえすこと確実なサトーです。
痛いものは痛いんだよ。

 

さて、さいきん読んだ本の感想です。

 

この本は

 

主に2020年パンデミック時に、孤独や痛みに耐えながら出産しなければならなかったアメリカの有色人種の女性たちや、
同じくパンデミックの時に家庭に閉じ込められて家事、育児、教育、仕事をして、場合によってはキャリアを断念しなければならなかった母親たちの体験談などが紹介されています。

 

妊娠出産のときに病院で痛みを訴えても信じてもらえず雑な扱いを受けたとか、パンデミックで職場も学校も閉鎖している中、家事や育児や教育が当然のように母親に押しつけられたことなど。

 

なぜ先進国であるはずのアメリカで、こんなことが起こるのか?

 

有色人種の女性の痛みは軽視され、非常時の家庭では女性に負担が押し付けられるのはなぜか・・・といったことが、多くの体験談をもとに様々な視点から、「女の痛みはなぜ無視されるのか?」分析している本です。

 

アメリカの話なので日本の事例は出てきません

 

この本を読もうと思ったのは

ちょっと前にX(旧Twitter)で話題になってましたよね。
こういうやつです。↓↓↓

 

「脱毛エステで女性客には何もなしなのに、男性客には麻酔クリームが塗布されていた」
産婦人科で腹部に異常を訴えたのに、ただの便秘と診断されて帰宅したが次に同じ症状で受診したら子宮に異常があった」とか。
まさに女の痛みは無視される例ですね。
日本でもこういうことがあるんですね。

 

あとは「被災地で女性に生理用品を渡さない/または、ひたすら代替品を提案する」もそうですね。当事者の女性の痛みを無視する実例に当てはまると思うんですよ。

 

で、なぜそんなことが起こるのか?ということを知りたくてこの本を読んでみました。

 

ネタバレになるんですけどね、結論から言うと「女の言うことを信じない」というのが根強く、信仰に近いくらい根深くあるらしいんですよ。女の訴える「痛い」を信じないんですね。
だから女の痛みを軽視したり無視できるとのことです。だって信じてないんですからね。

 

もはや信仰心

そういう女の「痛み」を信じない人たちは、医療関係者や医学生の中にもいるそうなんです。
いやいや、人体として女の体の痛覚だけ鈍いということはないだろーと思うんですが、突き詰めていくとそういうのは、根深い女性蔑視につながってるようなんですよ。
そういうことが丁寧に分析、解説されています。

 

先進国でさえ

著者のアヌシェイ・フセインバングラデシュ出身でアメリカに移ったあと、出産時にアメリカの病院でひどい目にあったそうでうす。
アメリカの病院だから大丈夫!」と思っていたら、入院後に母子ともに命の危機に陥ったとか。

 

訳者は日本の方なんですが、やはり女性で出産経験ありというだけで病院で麻酔をしてもらえなかった、という体験談も書かれています。

 

先進国であってもそういう経験を持つ女性は多そうです。

 

命の危機があったかどうか、痛みの強弱は別として病院で痛みを訴えても鼻で笑われた人や、「異常はなかった」「何でもない」で帰された人は結構多いんじゃないでしょうか。


臨床試験から排除

まあ、読んでいて楽しい本ではないんですよね。
痛みに関する体験談は読んでるこっちまで痛くなってくるようだったし、
(「黒人女性を実験台にした現代婦人科医学の父」の話とか筆舌に尽くしがたいです・・・)


人種差別に対してナーバスなはずのアメリカでこんなんだったら、もはや世界は絶望的では?って暗い気分になるんですよね。

 

あとは世界的に見ても、生物医学研究の被験者は女性より圧倒的に男性が多いんですって。つまり医学や薬理学の実験結果のサンプルは主に男性のものなんですね。長年「実験や臨床試験から女性が組織的に排除されている」そうなんです。
現在はマシになっているとかいないとか。

 

そしてコロナ禍でアメリカでのワクチン臨床試験では、妊婦が含まれていなかったそうです。「妊婦自身から要請がでているにもかかわらず」です。

 

で、私は初めて知ったんですが「女性は男性よりも薬物の代謝に時間がかかるため、服用後8時間経過しても眠気が抜けず、車の運転ができないことがある」場合もあるそうです。同じ薬でも男女でだいぶ違うんですね。

 

まとめ

この本はアメリカの事例がほとんどで、日本のことは書かれていませんが、それでも先進国アメリカで、つい最近もこんなことが起こっていたなんて、かなり衝撃です。
言わんたるや日本では・・・

 

で、こういう「女の痛みを信じない」信仰の人にどう対処すればいいかということも書いてありまして、マヤ・ドゥゼンベリーという人が言うには、

 

「自分の体の異常は自分こそがわかっている、何年も専門教育を受けた医師でも人間だから間違うことはある、医学知識には未解明な部分もある、信頼できる医師に出会うまでセカンドオピニオンを求め続けよう(要約)」とのことです。

 

というわけで、興味があれば読んでみてください。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪

 

 

fortunamajor.hatenablog.com

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