本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

本、映画、ドラマの感想を書いています。

本『奇跡の人 ヘレン・ ケラー自伝』感想

 

このブログではアフィリエイト広告を利用しています。

 


こんにちは。
確定申告が終わって脱力しているサトーです。
自宅PCでうまくできなかったので申告会場へ行ってきたのですが、2時間以上かかってヘトヘトでした。ほとんどずっと立ちっぱなしだし、順番待ちで列の先頭で20分くらい放置されてて、誰も私のこと見えてないのかな?と不安になったり、やっと案内されたと思ったら「すいません、やっぱりもうちょっと待っててください」と列に戻されたり。
いやはや、とんでもなく疲れました。
来年からはもっと楽な方法で確定申告をしたいですね・・・

 


ヘレン・ケラー

さて、本の話です。
特に昭和世代には有名な人物かもしれません。
『奇跡の人 ヘレン・ ケラー自伝』
ヘレン・ケラー/小倉慶郎

 

 


彼女は熱病で1歳のときに聴覚と視覚を失いました。
よって話すこともできないため、三重苦と呼ばれることもあります。
その後、7歳でサリバン先生に出会って文字や言葉を習い
大学まで進学した超人です。

超人というのはこの本を読んだ私の感想です。
大学受験に備える様子や、大学での猛勉強ぶりを読むと
「秀才」という言葉の枠にはおさまらないなと感じます。

特に大学では健常者に混じって講義を受けるのですが、
ついていくのに必死な中でも着実に
知識を身につけていたのだなとわかります。


ヘレン・ケラーはどんなイメージ?

この本を読んで、私はヘレン・ケラーへのイメージが変わりました。
おそらく何かの映像作品で、子供時代のヘレンが感情的になって
サリバン先生に当たり散らすシーンがイメージとして
残っていたせいだと思います。

それでヘレンケラー=感情的な人で、それがサリバン先生のおかげで
普通の生活ができるようになった…と思いこんでいたんですね。
でもこの自伝を読むと、思ってたのとだいぶ違っていました。

ヘレンはもともと好奇心旺盛で外の世界への興味が強く
聡明な人だったんだなとわかります。
それで知ること、学ぶことが大好きで知識欲も旺盛です。
大学へ進みたいと思うのも当然ですね。

視覚と聴覚の不足を知識で補強し、想像力で膨らませていたのでしょう。
かなりの読書好きですが、ただの本好きではここまでの文章は書けないと思うので
やはりそういう素質があったんだと思います。


サリバン先生

この本を読んで一番驚いたのはサリバン先生のことです。
わたし、なぜだかサリバン先生はヘレンと出会ったときは
30歳くらいだと思っていたんですね。
聴覚と視覚に障害のある子を教えるのは、
ある程度の経験を積んでいないとできないだろうと思ったんです。

が、ヘレンと会った当時のサリバン先生は20歳だったそうです。
20歳!
しかもですよ、訳者あとがきに書かれているんですが
サリバン先生自身も目に障害があったそうです。

子供のころ、弟と一緒に施設に入れられ、そこで弟は病死します。
サリバン先生も一時、全盲になり、何度かの手術を経て、
どうにか視力を取り戻したそうです。

 

衝撃じゃないですか?
ヘレンケラーの物語はですね、
障がい者が、障がい者を教え、導き、ともに努力し、
成功した話なんですよ。


すごいぞサリバン先生

並外れた努力を続けたヘレンもすごいんですが、
それ以上に20歳の若さで言葉の通じない子供と意思疎通の
方法を見つけ、豊な経験と教育を与え、自立した人格に育てていった
サリバン先生も、もの凄いと思うんですよ。
(もちろんこれは親の財力ありきです。両親もよくこれだけの教育環境を長年維持できたなと思います。)

 

なのでヘレンだけではなく、サリバン先生も
もっともっとクローズアップされていいんじゃないかなと思います。

そういう点では、私は知らなかったんですが
大竹しのぶさんがサリバン先生を演じる舞台が
過去に話題になったようですね。


ふたりで授業に立ち向かう

サリバン先生も目に障害があったということは
この本を読んだあとに知ったんですが、そういえば
ちょっと不思議に思ったことがあるんです。

それは、ヘレンがケンブリッジ女学院の二年目の授業中に
サリバン先生から指文字で、教師の話を通訳されているときのこと。
「この十一年間ではじめて、先生のいとしい手が、
もはやこの労働に耐えられないように感じられた」

と、ヘレンは書いています。
この部分で私は、サリバン先生は
大学に行ったことがあるのなら、授業の通訳はそれほど
難しくなかったのでは?疲れがたまっているのかな・・・
と思いこんじゃったんですね。

読了後に訳者あとがきを読んで腑に落ちました。

サリバン先生はたぶん、大学には行ってないんですよ。
パーキンス盲学校を卒業した直後にヘレンの家庭教師になったので
大学には行ってないみたいなんですね。

(パーキンス盲学校は、「障がい者が自分で学習でき、個人として自立した生活がおくれるようになる事を目指している」とあるので、女学院や大学の授業とは性質が異なっていたのではないかと思われます。Wikipediaより)

 

わかりますか?
この凄さが。この難易度、ハードルの高さが

 

サリバン先生もヘレンと共に初めて
大学に準じるような専門性の高い授業を受けたと思われるんですね。
なので教師の話や教科書をリアルタイムでヘレンに通訳するのが
ものすごい大変だったと思うんです。

ヘレンもそうなんですが、サリバン先生にとっても
女学院での授業は未知の世界だったんですよ。きっと。

ヘレンも大学の授業で心折れそうになったみたいですが
サリバン先生もなかなかにメンタルにきてたんじゃないかなと想像します。

 


大人も読んでみよう

巻末にも書かれているように、
私はヘレン・ケラーの話は、子供向けだと思っていたのですが
これは大人こそ読むべき本ではないかと思いました。

この自伝の前半はヘレンの世界になじんでいく子供時代が
書かれていますが
後半は大学へ入るための猛勉強や努力が書かれています。

その壁にぶつかりながら、心が折れそうになりながら
それでも進んでいく様子は
現代の大人にも響くのではないかと思うんですよね。


まとめ

この自伝は当然、ヘレンの視点から書かれたものですが、
今度はサリバン先生が書いた本も読んでみたくなりました。

 

この本は
邦訳されたものですが、読んでいてわかるんですが
ヘレンの語彙力や表現力が素晴らしすぎるんですよね。
視覚と聴覚が使えない状態で、22歳でよくこれだけの文章を
書けたな!と舌を巻きます。

まさに超人ヘレン・ケラーですね。
凄すぎ。

ヘレンは大学をでたあと、盲人委員会にはいり、
その後はいろいろな活動に参加し、日本を訪れたこともあります。
そして87歳まで生きたそうです。

 

興味があれば読んでみてください。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪