本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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シャーロック・ホームズのライヴァルたち『隅の老人の事件簿』感想

 

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こんにちは。
買ってきたかき揚げを翌日に食べると、油がギトギトしてオイシクナイ…ことを発見したサトーです。
温めたんですが、レンジでチンしたのがまずかったのでしょうか。トースターだったらまだマシだったのかなーと思ったんですが、うち、トースターないんですよね。
まあしょうがないです。
次から、かき揚げは買ってきた当日に食べることにします。

 

さて、最近読んだ本の感想です。

 


安楽椅子探偵

ってご存じですか?
安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)っていうのは
自分で現場に行ったり、積極的に証拠集めをしないで
部屋の中にいたままで、事件を解決しちゃう探偵のことです。

 

例えば、本人は部屋の中の安楽椅子に座ったまま、
他人が持ってきた情報をもとにして
部屋から出ないで謎を解いちゃった…とかですね。

 

ミステリにそういうジャンルがあるんですって。

 

 

 

 

この『隅の老人の事件簿』もそのジャンルに分類されています。
ただ、読むと分かるんですが
この老人は自ら検死審問に出かけたりしてるので
厳密には安楽椅子探偵といえるかは
ビミョーらしいです。

 

で、この本は短編集で、13編が収録されています。

 


隅の老人のスタイル

隅の老人に名前はありません。
ABCショップというカフェみたいな、
パン屋のイートインコーナーみたいな店の常連です。

 

隅の老人の謎解きスタイルは、ABCショップの隅の席に座って
同じく常連のポリーに、巷で話題の事件の謎解きを
つらつらと語ることです。

 

ポリー若い女性で
たぶん、ゴシップ紙みたいなものの記者です。
ポリーはABCショップの常連で
いつも隅の席で昼食をとるんですね。

 

そしたらそこに、いきなり知らない老人がやってきて
向かいの席に座り、巷で話題の事件の話を始めるんですよ。
ふつうに失礼な老人ですよね。

 

紳士の国イギリスで、なんでこんな失礼な老人の話が
はやったのか不思議なんですけど、
実は『隅の老人』はシャーロック・ホームズが大人気になったことで
いろんな出版社が後追いした
シャーロック・ホームズのライヴァルたち」と呼ばれる
探偵の一人らしいんです。

 


ご高説をたまわる?

隅の老人とポリーは隅の席に座って
隅の老人が事件の経緯と謎解きを
偉そうに(実際ポリーを見下した言い方をする)
ポリーに話すんですね。

 

隅の老人はおそらく仕事はしてなくて、
謎解きと検死審問通いが趣味なんですね。
でも、ポリーは謎解きは素人です。

 

そんなポリーに向かって、隅の老人が話してる姿は
ご高説だぞ、ありがたく思えみたいに見えちゃうんですよね。

 

そこで思い出したんですけど、
何年か前にインターネットでちょっと話題になった
「ハウツーのブログ記事で、知識ある男性アイコンが、
知識ない若い女性アイコンに物を教える図」
というのがあって
あ、これ当てはまるなーと思ったんですよね。

 

もしかして「ハウツーのブログ記事で、知識ある男性アイコンが、
知識ない若い女性アイコンに物を教える図」
元祖が『隅の老人』か?!
とか思ったんですよね。

そのくらいご高説たまわれ感があります。

 

作者は?

で、こんなの書くのはおじさんだろーなと思って
調べたら、作者はバロネス・オルツィという
ハンガリー出身でイギリスで活躍した女性作家でした。
紅はこべ』の作者だそうです。

 

なぜこの隅の老人が誕生したのかはわかりませんが
経済的に苦しい時期だったようで
もしかしたら、何がなんでも売れる作品を書かなければ!
というプレッシャーがあったのかもしれないですね。

 


隅の老人はフェアか?

ちょっと横道にそれるんですが、
推理小説の評論の指標とされている
ヴァン・ダインの二十則というのがあって、
その作品がフェアか、フェアじゃないかの
ひとつの指標になってるみたいなんですよね。

 

それが面白いなとおもったんですけど
その二十則の中に
10番目 犯人は重要な役を演ずる人物でなくてはならない
11番目 端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である
というのがあるんです。(どちらも省略してます)

 

隅の老人はこの10と11を思いっきりやってるんですよね。
犯人がそれまで1~2度、しかも名前しか出てきてない人だったり。
え、犯人その人なの?
ちょっとしか出てきてないのに?っていうのがあるんです。

 

これ、ありなのか・・・と思ったら
ヴァンダインの二十則が登場したのが1928年、
『隅の老人』が登場したのが1901年なので
そりゃあ、バロネス・オルツィも当時の世間も二十則を
知らないよなあと。

『隅の老人』が登場したときに二十則はなかったんですね。

 

でも、推理小説を書くときに
この二十則を厳密に守る必要はないようです。
わざと破る作家さんもいるそうで。

 

あと、この二十則にアガサ・クリスティーの作品も
いくつか当てはまっていそうだし、ミステリの女王が当てはまってるんなら
しかも2023年の今なら
特に気にする必要はないのかもしれないですね。

 


まとめ

実をいうとですね、わたし、『隅の老人』は
途中で飽きてしまいまして・・・笑
途中までしか読んでないんですよね。

 

ちなみに、ベッド・ディテクティブというのもありまして、入院中で本人は動けないけど
友達とか部下に情報収集させて
集めた材料をもとに推理して、本人は動かないまま
ベッドの上で謎を解く…というジャンルです。
そのまんまですね。

 

代表的な作品に『時の娘』と
モース主任警部が出てくる『オックスフォード運河の殺人』があります。

 

どちらも探偵が入院中に、ベッドの上で謎解きをします。
体が動かせない入院中って相当ヒマなんだなと思うと同時に
そんな娯楽に協力してくれる人がいるなんてうらやましいなーと思いました。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪