本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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水面下にあった暴力『ダイブ』感想

 

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こんにちは。
大人になってからは泳ぐことが少なくなったサトーです。
最近みた映画の感想です。

(それにしても「水面下にあった暴力」なんてすでに誰かが書いてそうなタイトルですね。)

 


メキシコ、飛込競技、女子

 

ダイブ

ダイブ

  • カーラ・ソウザ
Amazon

 

2004年のアテネ五輪
目指して猛特訓中のマリエル

 

しかしペアを組むアレハンドラ
ケガをしてしまい、ペアは解消、
練習はできません。

 

コーチが提案したのは
14歳のナディアとペアを組むことです。

 

子どもと一緒に大会には出られない!
と反対するマリエル。

 

そのナディアがチームに加わった直後
コーチが女子選手にセクハラをしている
疑惑が持ち上がり、調査が行われます。

 

調査の結果、コーチは無罪ということになって
チームは今まで通り
オリンピックを目指すことに。

 

けれど、14歳のナディアに
昔の自分が重なったマリエルは
封印されていた記憶を
思い出すことになります。

 


実話に基づく物語

タイトルにちょこんと
実話に基づく物語」とありますね。

 

調べてみてもよくわからなかったんですが
Amazonレビューにある
主演のカーラ・ソウザについて
書かれた説明が一番わかりやすかったです。

カーラ・ソウザ自身が、


メキシコのエンタメ界で
性暴力の被害者であったことを
自ら告白した経緯があったようです。

 

なので、日本語で調べても
「実話に基づく」というのが
カーラ・ソウザのことなのか
オリンピックでのメキシコ飛込女子で
実際に起きたことなのか
よくわかりませんでした。

 


トップ選手の裏事情

どの部分が事実に基づいているのかは
わかりませんでしたが、
映画としてはよくできています。

 

レビューの中には退屈だという感想もありましたが
常識で考えると
性暴力の被害者の話を
面白おかしく描くことは
まともな制作陣ならしないはずなので
こういうトーンになるのは納得です。

 

主役のマリエルのキャラにも
合っていると思います。

 


性暴力加害者の手口

この映画がよくできてると思ったのは
性暴力加害者の手口ですね。
それがわかりやすく描かれています。

 

加害者は自らの立場を利用して
自分より弱い者を言葉巧みに言いくるめて
「認められたい」と頑張っている選手の
心の隙間に入りこみます。

 

自分の行動が問題視されたら
泣いて相手を責め、自分は被害者だ
これは仕方のないことなんだと言い、
スター選手のマリエルに
泣きながら「相手を説得してくれ」と
頼みます。

 

ところが。
自分の無罪が認められて
権力を取り戻した途端に
暴君のように振るまいます。

 

この手のひら返しというか
相手を自分の意のままに動かすために
コロコロ態度を変える。
これが性犯罪に限らず、卑怯な加害者
当てはまるなと思いました。

 

そして最終的には
泣いてすがりつけば、被害者は
自分を許してくれると
信じてるんですね。

 

そういう性暴力加害者の手口が
わかりやすく描かれています。

 

あとはグルーミングですね。
恐ろしいのは、影響力のある加害者だと
被害者本人だけでなく
周りの大人も騙してしまうので
タチが悪いです。

 

卑怯でずる賢い悪人の手口です。

 


被害者の行動

コーチがマリエルに
「お前は才能はあるが、人間として弱い
と言っていたんですが、
マリエルの事情を知ると
「人間としての弱い」ことが腑に落ちます。

 

子どものころ世界的な大会に出るため
猛特訓してる最中に、コーチから性暴力を受けたら
精神が相当なダメージを受けます。

 

長年、そんな環境にいたら
メンタルもブレブレで不安定になって
破滅的な性格になるのも無理ないでしょう。

 

初期の段階で適切なケアを受けられずに
精神的なプレッシャーが強い環境で
10年以上やってきたんですから。

 

大人になった被害者マリエルの行動も
典型的自傷行為ですが
わかりやすく描かれています。

 


新たなターゲット

加害者であるコーチは、新たなターゲットを見つけて
そちらに乗り換えたとたん
マリエルに厳しく当たります。

 

こちらも非常にわかりやすいです。
新しいおもちゃを見つけたら
古いおもちゃはポイっと捨てるみたいに。

 

ターゲットになったナディアを見て
マリエルはかつての自分を重ねます。

 

そこでやっと自分の身に起こったことを
客観視できたんですね。
そんなことを言ってましたね。

 

しかも今のマリエルは大人なので、
大人としてナディアを危険から守ろうとしますが
うまくいきません。
自分の傷が癒えてないのに他人を守ろとするのは
無理があります。

 


カーラ・ソウザ

私、前情報なしでこの映画を見たんですが
最初はカーラ・ソウザは元スポーツ選手の
俳優さんかなと思ったんですね。
筋肉とか体の動かし方が
本物のスポーツ選手ぽかったので。

 

けれど、カーラ・ソウザは俳優さんでした。
この映画のために
ものすく鍛えたんだと思います。

 

筋肉をつけたうえで、足をあれだけ上げるとか
ちょっとやそっとじゃ出来ないですよ。
プロの俳優さんはすごいですね。

 


まとめ

スポーツ界で知らぬ間に起きている
性犯罪、しかも子供が標的になる
悪質な性犯罪を取り上げたのは
この映画の功績だと思います。

 

見ていて楽しい映画ではありませんが
加害者の手口を知るためにも一見する
価値はあると思います。

 

それにしても、
才能も実力も実績もあるのに
それでも虐げられる人間がいるなんて
本当にこの世は悲しいものですね。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました。