本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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ミステリー『片眼の猿―One-eyed monkeys―』感想

 

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こんにちは。
もし片眼しかなかったら生きていくのはかなり不便になるだろうなと思うサトーです。

 

最近読んだミステリーの感想です。
ネタバレになっているかもしれないので、ご注意ください。

 


ストーリー

 

 

探偵の三梨
産業スパイの調査中。

 

ところが、怪しい人物を調査中に
殺人事件に巻きこまれてしまいます。

 

新しいスタッフを雇ったばかりだし
そのスタッフのために大きな出費もしたばかり。
でも面倒くさいことになりそうだし
この事件からは手を引いた方がいいかも?

 

そう考えた三梨でしたが
なぜか事件に深く関わっていくことになります。

 

やがて三梨の能力と、彼の過去が明らかになりますが
それは想像を絶するものでした・・・

 


この小説は

主軸のミステリー以外にも
登場人物の見た目や外見に言及することが多い作品です。

 

それは単なる美醜や、
ダサいダサくないなどのルッキズムというよりも
その人の体が「普通ではない」こと、
本人には変えられない特徴や
持っている障害に対する偏見や差別も含まれます。

 

そういうのが随所に出てくるんですね。
見た目にコンプレックスがあったり
「自分は普通とは違う」と思っている人には
かなりきついかもしれません。

 

ささいな偏見や、
そこから生じる感情、表情が
それを向けられる当人にとっては
耐え難いこともあるんですよね。

 


話がちょっと逸れます

ちょっと話が逸れますが、
今、世界的な課題となっている
トランスジェンダーのトイレ問題に
通じるエピソードも出てきます。
※単純に同一問題と捉えるのは無理がありますが。

 

いま現在起きている問題と、
作中の話はもちろん別ものなので
両者をイコールにするのはかなり短絡的なんですけどね。
なにしろデリケートな問題なのでね。
作中に出てくるのは明らかな犯罪行為です。

 

ただ現実世界に目を向けると
この類のトイレ問題は、今すでに傷ついていて
声を上げられない当事者たちに
追い打ちをかける可能性もあるのだなと思いました。
かなり複雑な問題ですね。

 


まとめ

話を元に戻します。
この小説はトリックとか
いろいろ貼られた伏線とかもきちんと回収されていたので
ミステリーとしての完成度はかなり高いです。

 

タイトルになっている「片眼の猿」の意味を知ると
悲哀感がじわじわとこみ上げてきます。

 

読み終えた時に
自分の中にある常識を揺さぶってくる力作です。

 

それでは、お読みいただきありがとうございました♪