本と映画とドラマの感想|サトーのブログ

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『コット、はじまりの夏』感想

 

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こんにちは。
映画を見にいこうと思ったら、見たい映画が3時間近くあるので躊躇しているサトーです。3時間もあったらmy膀胱が悲鳴をあげるし、ミニシアターなので幕間休憩があってもトイレが混みそうなんですよね。
悩みますね~。どうしましょうかね。
 
さいきん見た映画の感想です。
ちょっとネタバレになっているかもしれません。
 
 

ストーリー

 
「1981年、アイルランドの田舎町。
大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。」
 
 

感想

素晴らしかったです。
系統としては『西の魔女が死んだ』みたいなかんじでしょうか。
後味さわやかな少女の成長物語です。
 
家族から除け者にされた経験があったり、家族に愛されなかったけど、
家族以外の人からフェアな扱いを受けたり、家族以外の人から愛情をもらったりした人には涙腺のツボをついてきます。
 
コットは繊細で気にしぃだけど素直なんですね。
生まれ育った家庭では生きづらかったんだろうなとすぐにわかります。
困ったとき相談できる人もいないし、助けてくれる人もいな環境なんですね。
 
コットは困ったときに、どうすればいいかわからなかったんですね。
ひとりだったので。
 
それが預かってもらったキンセラ家では、話せる人もいるし、心配してくれる人もできたんです。
今風にいうと心理的安全性が確保されたんですね。
コットはどんなに安心したことでしょう。
観てるこっち側としても、コットはキンセラ家にいるべきだ・・・と思うんですよね。
でも夏が終わると、実家に帰らなきゃいけないんです。
 
 

コットと家族

コットは大家族というか、今ならX(旧Twitter)だと多産DVと言われそうな家庭で暮らしてるんですね。
 
母親は妊娠中で小さな子の世話をして、コットや大きな子供たちには手が回らないみたいだし。
父親はおそらくギャンブル依存症モラハラ体質です。
あとこの父親は、コットを預かってくれるキンセラ夫妻に対しても失礼な態度なので、分かりやすく言っちゃうとクズ野郎です
 
そんな環境にいるコットは家族から除け者にされてるんですね
夜尿症もあるし、もしかしたら虐待や姉妹からいじめを受けていたのかもしれません。映画の中でそういう描写はなかったんですどね。
言っちゃえばコットは敵の中で暮らしてるようなもので、安心できる場所がないんですね。
 
そんなコットが母親が出産する間、親戚のキンセラ夫妻の家に預けられます。
 
コットの家と、キンセラ夫妻の家の対比もおもしろいです。環境というか、それぞれの家族が作り上げた「巣」の状態に見えてきました。その対比ですね。
広くて明るくて清潔で整頓されたキンセラ家と、
小さくて暗くて散らかってるコットの家。
 
どちらが居心地良さそうか、どちらに住みたいかは一目瞭然ですね。
 
 

父親

あとで気づいたんですけど、父親は最初は寡黙に見えるけど、コットがキンセラ家に行ってからは喋るようになるんですよね。
これ、コットの解像度が上がったからなのかなと。
よその家の人と比較して、父親の実態が見えてきたというかね。
 
最初無口だった父親だけど、あとから文句しか言わない、ギャンブル依存症のクズみたいなやつだとわかるんですよ。
 
これはコットがよその家に行って、よその家の人と父親を比較することで生まれたものじゃないかなと。
つまり、コットは最初は自分の家庭のことしか知らなかったから、父親の言葉は気にならなかったけど、よその家に行って別の大人と関わることで父親の態度や言動の悪さが目につきはじめたんですよね。
 
この描写が実にさりげないけど、実に見事ですね。
 
 

まとめ

あと見ているうちに、ラストはコットがどういう行動に出るのかわかっちゃうんですよね。ここは泣けるところなんですけどね。
 
だからそういう意味で、映画のジャケットはネタバレしてるんじゃないかなあと思うんですよ。
 
 
あと、キンセラ家で、「この家に秘密はない」と言われながら、コットには打ち明けられなかった事実があるという矛盾ををね、コットが受け入れたりするのも、ああ、この子は成長してるんだなあというのが垣間見れてよかったです。そこでキンセラ夫人を責めないんですよね。コットの優しさですね。
 
人間というのは人間が育てるんだなと、しみじみ思うなどしました。
 
幼いころに、無条件の愛情を感じられたかどうかっていうのは、やはり人格形成や精神の安定において重要なことなんだなあと実感しました。
 
静かでステキな映画でしたね。
 
それでは、お読みいただきありがとうございました♪